シェールガスが与える日本への影響



シェールガスが与える日本への影響

シェールガス革命の直接的な影響

エチレン生産には既に大きな影響が出ているエチレン生産には既に大きな影響が出ている

シェールガス革命の直接的な影響は既に様々な分野で出始めています。例えばエチレン生産には既に大きな影響が出ています。
シェールガスから生産できる石油化学製品はエチレンだけですが、エチレンは各種フィルムや繊維・プラスチック容器・水道管・床材・屋根材などの原料になる石油化学製品の基礎原料です。

日本国内のエチレンプラントは価格競争力を失った日本国内のエチレンプラントは価格競争力を失った

その石油化学製品の基礎原料であるエチレン生産から、国内メーカーは撤退を余儀なくされています。千葉県市原市に大規模なエチレンプラントを持つ住友化学は、2015年9月までに千葉プラントの操業を停止すると発表しました。
何故なら、アメリカで住友化学のライバルであるダウ・ケミカルやエクソンモービルが、シェールガスに含まれる低価格のエタンからエチレンを生産する複数の大型プラントを建設しているからです。
もともと、日本の化学メーカーの原料がコスト高だったこともありますが、シェールガス革命で日本国内のエチレンプラントは価格競争力を失いました。
一方、アメリカにエチレン工場を持つ日本の化学メーカーには好影響が出始めています。
例えば、信越化学はアメリカに塩化ビニール樹脂の大型プラントを持っていますから、シェールガス革命による安い原材料の恩恵を受け始めています。

三菱レイヨンもアメリカに化学品プラントの建設を検討中三菱レイヨンもアメリカに化学品プラントの建設を検討中

また、クラレはエチレン系樹脂の新プラントをアメリカ・ヒューストンに建設中ですが、メキシコ湾岸のヒューストンはシェールガス革命のメッカです。
更に、日本の化学メーカー首位の三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱レイヨンもアメリカに化学品プラントの建設を検討中です。
従って、日本の化学メーカーにとっては、アメリカ進出が今後の生き残りの鍵を握っていると言えます。

エネルギーのコストダウンの好影響とパラダイムの変化

シェールガス革命が与える我が国への影響は3つ考えられるシェールガス革命が与える我が国への影響は3つ考えられる

シェールガス革命が与える我が国への影響は3つ考えられます。
1つ目はエネルギーの供給先の選択肢が増えることで、エネルギーの安定供給に繋がることです。従来の中東やオーストラリア一辺倒から、ロシアやアメリカやカナダが加わる可能性が大きくなってきました。
我が国への影響の2つ目はエネルギー価格の引き下げで、ガソリン代や電気料金・ガス料金の引下げが期待されます。
そして、将来的には在来型資源と非在来型資源の供給増から、世界的な天然ガスや原油価格の更なる下落が期待されます。
我が国への影響の3つ目は重厚長大企業への恩恵です。シェールガス革命によってアメリカの製造業が復活しつつあることは既に述べましたが、同様に我が国の重厚長大企業への恩恵も少なくありません。
直接的な恩恵を受けるのは石油・ガス掘削関連企業を始めとして、石油・ガスのプラントや輸送に関わる商社や海運、鉄鋼などの素材関連企業です。

空運・物流・旅行・食品業界への好影響も考えられる空運・物流・旅行・食品業界への好影響も考えられる

また、エネルギーコストの低下から、空運、物流、旅行、食品業界への好影響も考えられます。
そして、シェールガス革命によって、今後の世界経済の牽引役が中国やロシアやインドなどの新興国から日米欧の先進国に、大きなパラダイムの変化が起りそうな予感を起こさせます。