アメリカのシェールガス開発は、1970年代からアメリカ政府と中小企業が共同で技術開発に取り組み20年以上の歳月を掛けてシェールガス革命に結びつけました。
その過程で「水平掘り」「水圧破砕・ハイドロ・フラッキング」「マイクロサイスミック」という技術を最新のノウハウで最適に組み合わせることで、それまで商業生産は不可能と考えられていたシェール層からの掘削に成功しました。
つまり「水平掘り」「水圧破砕」「マイクロサイスミック」という技術そのものは従来からあった掘削技術ですが、それを最新のノウハウで組み合わせることでシェールガスの掘削が実現した訳です。
そして、シェールガス開発では大きく出遅れたアメリカの石油メジャーが、シェールガス開発に本格的に取り組み始めたのは2008年頃からです。
それまでは海外の水深の深い海底油田や在来型のLNG開発に力を入れていたアメリカの石油メジャーが、北米に回帰し始めアメリカ国内の中小企業とシェールガスの共同事業を開始しました。
現在、アメリカ石油メジャーでシェールガス開発に最も積極的なのは、アメリカ石油メジャーのトップ企業のエクソンモービルです。
2010年エクソンモービルは、シェールガス開発で急成長していた当時の国内ガス生産2位のXTOエナジーを400億ドルで買収して業界を驚かせました。
双方とも本拠地がテキサスだったこともありますが、アメリカ石油メジャーのトップ企業エクソンモービルがシェールガス開発に積極的に参加したことは他の石油メジャーにも大きな影響を与えました。
その後、エクソンモービルは国内外でのシェールガス開発を推し進めていきます。
2011年にアルゼンチンとロシアで地元企業と共同事業を立ち上げ、2012年にコロンビアとウクライナでも鉱区を取得し探鉱を開始しています。従って、今後のエクソンモービルの探鉱の成果が楽しみです。
また、フランスのトタルはシェールガスの埋蔵量が世界第3位のアルゼンチンでは先行しており非常に好ポジションに位置していると言えます。
既にトタルはアルゼンチンで10のシェールガス田を保有し長期テストを行っています。今後、2〜3年以内に試験生産を行い、5年〜10年で本格生産を開始する計画です。
また、トタルはポーランドやデンマークでも探鉱許可を取得しています。
更に、トタルは中国の揚子江下流域で中国石油化工集団(シノベックグループ)とシェールガスの共同探査を行っており、探査に成功した場合は長期的な開発計画に発展します。
つまり、フランスのトタルは自国でのシェールガス開発が事実上禁止されたため、シェールガス開発が手付かずのアルゼンチン・ポーランド・中国などの北米以外の埋蔵量の多い国に狙いを定めていると言えます。
そして、シェルやシェブロンやBPなどの石油メジャーは、エクソンモービルに1年〜2年遅れで開発に参戦しています。
シェルはコロンビア・ロシア・中国・トルコ・ウクライナ・アルジェリア・南アフリカ、シェブロンもアルゼンチン・ウクライナ・ポーランド・南アフリカ、BPはアルゼンチンやアルジェリアで探鉱を開始しています。
従って、今後のシェールガス開発はアメリカ国内・海外を含めて、資金力の有る石油メジャーが中心になることは間違いありません。