シェールガスが再生可能エネルギーに与える影響



シェールガスが再生可能エネルギーに与える影響

シェールガスの登場で化石燃料の寿命は数百年単位まで伸びたシェールガスの登場で化石燃料の寿命は数百年単位まで伸びた

シェールガスが登場する前の在来型の化石燃料の寿命は、残り数十年と言われていました。しかし、シェールガスの登場で在来型と非在来型を合わせた化石燃料の寿命は、一気に数百年単位まで伸びました。
一説によると在来型と非在来型を合わせた化石燃料の寿命は、三百年〜四百年になるとの見方も出ています。これは今まで、掘削が不可能と思われていた地下二千メートル〜三千メートルのシェール層に存在するシェールガスの掘削が可能になったからです。

天然ガス価格の下落で米企業の海外工場が米本土に回帰する天然ガス価格の下落で米企業の海外工場が米本土に回帰する

そして、シェールガスの登場でアメリカの天然ガス市場の需要と供給のバランスが崩れ、天然ガスの価格は大きく下落しました。
天然ガス価格の下落は、アメリカの製造業に元気を与えアメリカに設備投資を復活させるだけではなくて、アメリカ企業の海外工場がアメリカ本土に回帰する道筋を付けました。これはアメリカに大きな雇用をもたらします。これらのアメリカ経済の良い連鎖をシェール革命と呼んでいる訳ですね。

シェール革命によって再生可能エネルギーの前提条件が変化シェール革命によって再生可能エネルギーの前提条件が変化

従って、シェール革命によって、少なくとも再生可能エネルギーに対する前提条件が変わったことは事実です。
シェール革命前の再生可能エネルギーに対する前提条件の1つ目は在来型の化石燃料の枯渇でした。そして、2つ目の前提条件は在来型化石燃料価格の高騰で、3つ目の前提条件は原子力への過度の依存で、4つ目は地球温暖化対策でした。

OPEC諸国主導のエネルギー価格政策が通用しない情勢にOPEC諸国主導のエネルギー価格政策が通用しない情勢に

しかし、現在、この再生可能エネルギーに対する期待の前提条件が大きく変化しています。
まず、シェール革命によって、在来型と非在来型を含めた化石燃料の枯渇問題は払拭されました。その結果、在来型化石燃料価格は下落傾向にあります。
従って、今後は少なくとも過去のオイルショックの様なOPEC諸国主導のエネルギー価格政策が通用しなくなります。
更に、2011年の福島原発事故によって、過度な原子力発電への依存が見直されつつあります。また、石炭火力発電に比べると、天然ガス火力発電はCO2を出しません。
従って、これらの変化によって、再生可能エネルギーに対する期待の前提条件が大きく崩れたことは否定できません。

投資が鈍化しても再生可能エネルギーのメリットは揺らがない投資が鈍化しても再生可能エネルギーのメリットは揺らがない

その為、今後は再生可能エネルギーに対する投資が鈍化する可能性はあると言えますが、根本的な再生可能エネルギーのメリットが揺らぐ訳ではありません。
従って、今後は各国の国内事情にもよりますが、シェールガスを始めとする非在来型化石燃料開発と再生可能エネルギーと原子力のバランスを見極める必要があると言えます。