穀物価格は下がるのか?



穀物価格は下がるのか?

干ばつで高値が続く穀物価格

アメリカは記録的な猛暑で穀物の先物価格は軒並み高騰したアメリカは記録的な猛暑で穀物の先物価格は軒並み高騰した

昨年は世界有数の農業国であるアメリカで、記録的な猛暑が続き穀物生産に深刻な影響が出ました。特に、アメリカの中西部や東部の干ばつの被害が酷かった訳です。
そして、アメリカの中西部と言えばトウモロコシの産地として有名ですが、アメリカの中西部や東部の干ばつの影響で、トウモロコシを始めとして大豆や小麦などの穀物の先物価格は軒並み高騰しました。

特にトウモロコシの価格は2年連続で最高値を更新した特にトウモロコシの価格は2年連続で最高値を更新した

特に、トウモロコシの価格は2008年にエタノール需要の増加などで史上最高値の7ドル/ブッシェル台を付けていましたが、その後、2011年と2012年は2年連続で最高値を更新し8ドル/ブッシェル台に乗せました。2011年はロシアの干ばつ、2012年はアメリカの干ばつと立て続けに干ばつに見舞われたことが影響しています。
そして、トウモロコシの価格は今年に入っても8ドル/ブッシェル前後の高値で高止まりしています。
従って、2年連続の干ばつで高値が続いている訳ですが、高値のもう1つの背景はバイオエタノール向けの需要が続いていることです。アメリカのトウモロコシの4割がバイオエタノール向けと言われているからです。

アメリカ政府の政策でバイオエタノールを推進しているアメリカ政府の政策でバイオエタノールを推進している

もともと、バイオエタノールの生産コストは石油に比べて高いのですが、アメリカ政府が60億ドルの補助金をエタノール製造会社に払って石油並の価格に引き下げているのです。
つまり、現在のところ、アメリカ政府の政策でバイオエタノールを推進している訳ですね。
日本の農家への個別保証制度と政治的な発想は同じです。

シェール革命で穀物価格は下がるのか?

シェール革命によって穀物価格が下がる可能性は高いシェール革命によって穀物価格が下がる可能性は高い

もともと、バイオエタノールは在来型の化石燃料の代替エネルギーとして開発されたエネルギーです。
つまり、バイオエタノール推進の理由は、在来型の化石燃料があと数十年で枯渇する恐れが有ったからです。その為、アメリカ政府はバイオエタノール推進のために毎年60億ドルの補助金を出してバイオエタノールを石油並の価格に引き下げていますが、その政策はアメリカ国内の農家の支援という意味合いも有った訳です。
一方、シェール革命で石油や天然ガスの価格が下がると、バイオエタノールは市場競争力を失います。また、化石燃料の枯渇が、従来予想されていた10数年後からシェール革命で一説によると300年〜400年後に延びたことでバイオエタノール生産の意義も無くなります。
従って、アメリカ政府がバイオエタノール推進政策を転換すれば、トウモロコシの価格が下がることは間違いありません。                   
つまり、シェール革命によってトウモロコシを始めとした穀物価格が下がる可能性は多いに考えられることで、その鍵を握るのはアメリカ政府がバイオエタノール推進政策をいつ頃まで継続するのかということなのです。

バイオエタノール推進政策を止めれば農家の反発を招くバイオエタノール推進政策を止めれば農家の反発を招く

只、アメリカ政府がバイオエタノール推進政策を止めれば農家の反発を招くことは確実ですから、政府が何時その決断を下すことができるのかということが重要なポイントになってきます。
つまり、バイオエタノール推進政策の継続の可否は、エネルギー政策と農家の反発の狭間で非常に政治的な判断が求められることになります。