シェールガス革命の環境リスクとは?



シェールガス革命の環境リスクとは?

シェールガス開発の環境リスク

水質汚染リスク・大気汚染リスク・地震誘発リスクが伴う水質汚染リスク・大気汚染リスク・地震誘発リスクが伴う

シェールガス開発も良いことばかりではありません。シェールガス開発によって引き起こされるリスクとして現在までに確認されていることは、「水質汚染リスク」と「大気汚染リスク」と「地震誘発リスク」の3つです。
この中で最も深刻なのは地下水の「水質汚染リスク」です。シェールガス掘削地域の井戸水が、油やシェールガス開発に使われる化学物質によって汚染されるという報告が各地で出されています。また、稀ですが、水道水からメタンなどのガスが漏れ出て水道水に火が付く現象などが報告されています。

シェールガス開発を事実上禁止したのも水質汚染リスクが原因シェールガス開発を事実上禁止したのも水質汚染リスクが原因

その結果、フランス政府が2011年に「水圧破砕による非在来型資源の開発・採掘を禁じる法」を制定してシェールガス開発を事実上禁止したのも「水質汚染リスク」が原因と言われています。
只、「水圧破砕」が地下水の汚染の原因なのか、或いは他の要因で地下水が汚染されているのかは今後の調査を待つ必要があります。
一方、「大気汚染リスク」については解明が進み、シェールガス開発による大気汚染への対策が既に立てられています。シェールガス開発による大気汚染は殆どの場合「水圧破砕」で注入した水を回収する段階で、水と一緒にガスの主成分であるメタンが大気に放出されることで起っています。
そこで、アメリカ環境保護局は2012年4月に基準を改定し、2015年までに全ての坑井でメタンを回収するよう義務付けました。

地震誘発リスクは未だ解明されていない地震誘発リスクは未だ解明されていない

また「地震誘発リスク」については、イギリスのシェールガス掘削現場で「水圧破砕」の直後に小さな地震が発生することが複数回起りました。確かに「水圧破砕」の直後に小さな地震が発生したことは間違いない様ですが、地質や地盤との因果関係は未だ解明されていません。

各国のシェールガス開発規制の現状

最も盛んなテキサス州では添加薬品の内容報告義務が最も盛んなテキサス州では添加薬品の内容報告義務が

余り知られていませんがシェールガス開発を積極的に推進するアメリカ国内に於いても、シェールガス開発に対する規制は実施されています。
例えば、シェールガス開発が最も盛んな州の1つであるテキサス州では、シェールガス開発に使用する添加薬品の内容を州規制当局に報告し、州政府のウェブサイトでの公開を義務付けています。
また、ニューヨーク州では飲料水対策として、水源地域や井戸周辺でのシェールガス掘削が禁止されています。更に、ニュージャージー州ではシェールガス掘削の「水圧破砕」を前面禁止しています。
一方、ヨーロッパに於いて、フランス政府は2011年7月に他国に先駆けて「水圧破砕による非在来型資源の開発・採掘を禁じる法」を制定して、シェールガスの開発を事実上、禁止しました。そして、同様にブルガリアは2012年1月から「水圧破砕」の禁止を一部で継続し、南アフリカも「水圧破砕」の禁止を行っています。
只、これらのシェールガス開発規制は、各国のエネルギー政策とも密接に関わっています。
例えば、フランスでは原子力エネルギーへの依存政策が強く推し進められていますから、シェールガス開発が進んで化石燃料のコストが下がることは余り歓迎されることではありません。

ドイツはシェールガス開発の環境への影響を慎重になっているドイツはシェールガス開発の環境への影響を慎重になっている

また、原子力への依存を止めて再生可能エネルギーへの依存を決めたドイツでは、シェールガス開発の環境への影響を慎重に見極め様としています。